これからのダイバーシティ

さいきん、60歳前後の方の姿勢に驚き学ぶことが多い。

 

先日、ハンズオンで支援しCHROを務めている理化電子株式会社にて、国内全拠点のマネージャーアップを一堂に会して2日間の研修を実施したのだけれど、最初の自己紹介の際に一番最初に手を挙げられたのが最高齢参加者の60代のシニアマネージャー。

 

「私は人前で話すのが苦手なので、この2日間は積極的に前に出て話したいと思います」

とおっしゃった。 

 

痺れた。のっけから痺れてしまった。

 

また、50代後半のシニアマネージャーからこんな質問が飛び出す場面があった。

「60歳の定年を目前にして、自らのモチベーション低下に不安を感じる。どうすれば60歳を超えてもモチベーションを保てるのか」

 

この質問に対し、別の60代のゼネラルマネージャーが手を挙げて「私が回答してもよろしいですか」と前置きしてから、こう答えられた。

 

「60歳を超えてモチベーションが下がるなんてことはあり得ない。そんなことが起きるとするならばそれは年齢の問題ではなく、仕事に対する姿勢の問題でしかない。現に私は60歳を超えてからも変わらず仕事が楽しいし、モチベーションの衰えを感じたこともない」

 

全く、痺れてしまった。

 

ぼくはそもそもモチベーションという言葉が好きではないが、それはさておき、

世の中一般では50代後半以上のシニア層を対象にモチベーションアップを目的とした研修や施策をしても意味がないなどと言われていたりする。

定年までの残り僅かな期間を静かに過ごそうと考えている人に発奮を促しても仕方がないというのだ。

 

しかし本当にそうなのか、大いに疑問が残る。

少なくとも弊社のシニア層はバイタリティに溢れ、仕事も自らの成長も会社の変化も楽しんでいる。

全てのシニア層が楽しんでいるのかというと必ずしもそうではないのかもしれないが、

全てのシニア層が保守的に自らの殻に閉じこもっているかというと答えは全くのノーだ。

 

定年後、嘱託として再び働くことをわざわざ選んでいる方などは、それはもちろん生活上の理由から仕方なくという方もいるだろうけれども、仕事を楽しみながら働きたくて働いている方も少なくない。

 

春先にシリコンバレーでMAP U株式会社のワークショップを実施した際にも、ぼくは若手リーダー向けに開催したつもりだったのだが、蓋を開けてみると60歳前後の方が参加者の2~3割を占めていて、大いに驚いた。

世の中の目まぐるしい変化を肯定的に受け入れ、

学び成長し続けないと取り残されるという危機感を強く抱いているのは、

若手よりもむしろ60歳前後なのかもしれないということをこのとき初めて認識した。

ましてや現実的に健康寿命が延びる見通しが立っているにも関わらず、

定年退職制度がまだかつての健康寿命を前提としていて変わらない以上、

自らが変わるしか選択肢はないのだ。

 

60歳を超えても学び続け、変わり続ける弊社のシニア層からいただいた気付きは、

これからのダイバーシティは女性や子供にばかり目を向けるのではなく、

もっと高齢者に目を向けるべきではないかということだ。

女性が働きやすい職場づくりや託児所の設置などは当然進めるべきなのだけれど、

高齢者が働きやすい職場づくりやその親世代にあたる後期高齢者の介護環境の整備、老稚園(というのは造語だが老人ホームと幼稚園を隣接させた施設)の併設など、

取り組みたいことはたくさんある。

 

新卒の採用・育成に注力することで新規事業開発を促進しているのだけれど、

これからはシニア層のさらなる飛躍も支援していきたい。

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